『AIとBIはいかに人間を変えるのか 』/ 波頭亮 【書評】
こんにちは。
波頭亮さんの『AIとBIはいかに人間を変えるのか』を読みましたのでご紹介します。
最近AI(人工知能)という言葉をテレビなどからよく耳にすると思います。
この本は、AI(人工知能)BI(ベーシックインカム)について聞いたことはあるけど詳しくは知らないという方にぜひ読んで頂きたい1冊です!
本書について
経営コンサルタント・波頭亮によるAI(人工知能)・BI(ベーシックインカム)論の決定版!
産業革命以来の社会変化に対応するために読むべき必読書。
【人類史上初、我々はついに「労働」から解放される。この歴史的大転換をどう生きるか! 】
すべての生産活動をAIが行い、生きていくためのお金はBIで賄われる。
働く必要ない世界はユートピアか、深い苦悩の始まりか―。
AIについて
第1章では初めにAIの発展と歴史について書かれています。
1956年ダートマス会議により世界中に広まった第一次AIブームから機械学習が発達し、ディープラーニングという新たな学習方法が登場したことによって、特微量の自律学習が可能になったことで大きく飛躍した第三次AIブームまで詳しく説明されています。
AIは人間の仕事を奪うのか?
AIの発達により私達人間の仕事が奪われてしまうのではないかとよく聞くと思います。
日本でもAIによって49%の人が職を失うと報告がなされています。
本書の中でも『知的労働が代替されていく』とあります。
しかし、蒸気機関、内燃機関、電力の発明により肉体労働・作業労働が機械に代替されてきました。それは仕事を奪うとは違います。自動車が発明されたことでタクシーやバスの運転手、整備士、ガソリンスタンドのスタッフの仕事が生まれました。
AIが代替した分また新たな仕事が生まれます。
AIの弱点
AIにも弱点があります。
それは『人の感情を扱う仕事』です。
例えば、医療や介護、カウンセラーといった人の精神ケアを求められる職業や高級ホテルやクラブなどで細かな接客がこれに当たります。
これから仕事を選ぶ方をこういったことも踏まえて仕事を選ぶと良いかもしれませんね。
BI(ベーシックインカム)とは?
そもそもBIって何?とあまり馴染みがない方もおられと思います。
BIとは『全ての国民に対して生活を賄えるだけの一定額の金銭を無条件で無期限に給付する』制度です。
簡単に説明すると、生きているだけで国からお金が貰えるということです!
BIのメリット
従来の社会保障制度と比較するとBIのメリットは、
⑴シンプルである
⑵運用コストが小さい
⑶恣意性と裁量が入らない
⑷働くインセンティブが失われない
⑸個人の尊厳を傷つけない
⑴,⑵ ,⑶に関しては、今の日本にも生活保護などの制度がありますが、受給を受けるまでに様々な調査や手続きを行わなければならず複雑で大きな人件費や運用費が必要です。
一方BIの給付条件は「国民であること」のみであり、金額も一定なので査定や計算も必要なく、とてもシンプルな制度です。
生活保護は、働いて収入を得ると、給付金が減額もしくは打ち切られます。
「頑張って働く」という意思・意欲を削いでしまいますが、BIは誰でも受け取れるので働くインセンティブが失われません。
BI導入の障壁
1)財源問題
BI導入には巨額の財源が必要になることから実現不可能なのでは?と言われることが多いです。
しかし、筆者は、現在の税制度を見直して国民負担率を60%に引き上げれば理論的には可能だと述べています。(財源についての細かな試算は本の中に書かれています。)
2)官僚の抵抗
BIの特徴は、制度がシンプルで恣意性と裁量を排除することができます。
行政/官僚側にとっては仕事を失うことになります。
行政に携わっている人は国家公務員と地方公務員を合わせて約340万人、準行政組織である公営法人まで合わせると約540万人もいるわけですから、その抵抗の壁は大きそうです。
感想
BIが導入されることにより、筆者がこの本の中でよく使っていた『働かなくても、食って良し』という未来が実現されれば良いなと思いました。
また、AIが発達することにより大きな格差を防ぐためにはBI導入がとても有効だと分かりました。
AI、BIについての理解を深めたい人はぜひ手に取ってみてください!